スポーツと栄養

Posted : admin / 2012.01.26

今年もいよいよ東京マラソンの季節が到来し、レース前の調整法が雑誌等で紹介されています。これまであまり注目されてきませんでしたが、栄養食品やサプリメントが普及し、一般の人にも食事法に関する知識は少しずつ浸透しています。一方でトップ選手の場合は、管理栄養士などの専門スタッフを雇って食事面から日々のコンディションづくりをしているようですが、それが一般の人、しかも普通に社会生活を送りながらでもできるようになってきたのもランニングブームの影響かもしれません。

フルマラソンを走るには2000~3000kcalが必要だと言われており、これは実に一般成人の1日の摂取カロリーに匹敵します。ところが一般の人が2~3時間何も食べずに、これだけの運動量を維持するためには、普段の食生活を送っていたのでは大変困難と言えます。普通1日3食というライフスタイルを送っている場合、人間の体は普段の活動量に合わせて栄養を吸収しています。そのため、試合やレースの前に思い切り食べてもあまり意味がありません。少なくとも1週間は食事と運動のバランスを整えて臨みたいところです。

三大栄養素とは、糖質、脂肪、たんぱく質で、これらに共通するのは「エネルギー源」となることです。このうち単位量あたりのエネルギー産生量が最も多いのは脂肪ですが、なかなか燃えにくいのが難点です。特に皮下脂肪はほとんど燃えず、血中を流れる脂肪が少し燃える程度です。運動が始まって最初にエネルギーとなって燃えるのは血液中の糖質です。それがなくなるとグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられていた糖質が利用されます。走り始めて30分ほど経つと、血中の脂肪もエネルギー産生に利用されます。有酸素運動が一番効果的に出る時間帯ですが、問題はそのあとです。人間の脳は糖質だけをエネルギー源としているため、糖質が少なくなれば必然的に糖質を脳へ優先して回そうとします。その結果として「スタミナ切れ」がを起きるのです。さらに飢餓状態では筋肉や細胞のたんぱく質を破壊してエネルギー産生を試みようとしますが、これは生命維持のための末期的な状態に起きる現象です。レースではこの「スタミナ切れ」をなんとか抑えたいところです。

最近ではレースの3日前から糖質の源である炭水化物を摂取するのことが流行っています。それ以上やっても体重が増えてしまうだけで、あまり効果はないようです。それからストレスやお酒も余計な糖質を使うため、できれば避けておきたいところです。レース当日の朝は、ごはんや餅など、ゆっくりと糖質が吸収される食べ物を摂ることが望ましいと思います。アスリートの場合、1週間前から炭水化物を絶ち、体が糖質を欲しがるカラカラの状態を作ってから、炭水化物を摂取する方法を行っている選手もいますが、それは専門家の管理のもとに行われているので、一般の人にはお勧めできません。

そしてどの競技にも言えることは、試合やレースのあとには損傷した筋肉を修復するために、たんぱく質の多い食事を摂取することが大切だということです。たんぱく質には植物性由来のもと動物性由来のものとがありますが、前者は細胞など組織の修復、後者は筋肉の修復に効果があるといいます。コンタクト性の高いラグビーやアメリカンフットボールの選手の場合、試合後にホエイプロテイン(動物由来)を摂取しているシーンをよく見かけます。これは筋力を落とさずに次の練習や試合に臨むために必要なことなのです。

全般的に見ると三大栄養素だけでなく、ビタミンやミネラルなどの微量素栄養素もバランスよく摂ることも大切です。特に鉄分は血液を産生する原料であり、ビタミンB群はエネルギー産生を助ける大切なものです。スポーツがきっかけとなって、食事面での健康に気を配るようになることはいいことかもしれません。それでも過度にやってしまうことは、逆にストレスを溜めることになるため禁物です。

最近は、走り方教室など技術を教える講習が行われる一方で、座学としてスポーツ栄養学の講義も行なわれています。もし記録に挑戦したい方はそういった講座に出てみるのもいかがでしょうか。